人物の経歴を調べる場合は、まず最初に『大分県歴史人物事典』等の人名辞典で調べますが、伊藤末尾は見つかりませんでした。次に、書名や著者名から蔵書検索をしましたが県立図書館にはデ-タがありませんでした。そこで書誌デ-タ(図書の出版社、出版地、出版年等)から調査対象者の活動していた時代や地域を特定していき、必要な情報を得ることにしました。
他の図書館の蔵書が分かる総合目録ネットワークで他館の状況を調べましたが、所蔵している図書館はありませんでした。最後にインターネットで『明治天皇御製謹講』と「伊藤末尾」で検索してみると、古書店サイトで『明治天皇御製謹講』と『大分県に於ける選挙粛正運動』がヒットしました。後者の書名から「伊藤末尾」が大分県と関係のある人物であることがわかりました。次に、『明治天皇御製謹講』の出版社「聖訓奉旨会」(東京)、発行年(大正9年)から、大正から昭和にかけて東京に在住していた大分県人ではないかと思い、在京大分県人名簿を調べました。その結果、『在京大分県人紳士録』『在京大分県人会員名簿』等に経歴が記載されていました。また、その経歴から大分県学生寮と関係が深いことがわかり、『大分県学生寮史』『緑窓 回想の大分県学生寮』にも詳しい記述があることが判明しました。
調査対象者の著作物の出版地、発行年からその人物の事跡にたどり着くことができた事例でした。