だんご汁とは、小麦粉をこねて帯状にひきのばしただんごを、四季の野菜とともに味噌仕立てで作る大分の代表的料理です。米が不足していた時代、庶民が主食替わりに食べていた食べ物で、おそらく昭和30年代までは各家庭の日常的な食べ物だったと思います。とても素朴な料理で郷愁をさそわれる人も多いかと思います。
そのだんご汁の由来ですが、実はよく分からないのです。おそらく江戸期以前に生まれた料理と考えられますが、当時の一般庶民の食事については史料がほとんど残されていないので、どのようにして生まれたのか分からないのです。しかし由来に関する説はいくつかあります。
天明3年(1783)豊後を訪れた古川古松軒の紀行『西遊雑記』に次のような記述があります。「…だんご汁は別名ホウチョウ(鮑腸)汁とも呼ばれている。大友宗麟はアワビ(鮑)の腸を好んで食べたが、それが取れなかったとき、だんごで代用したところ味がほぼ同じで、それでホウチョウ(鮑腸)と名づけた…」。別の説では東山荻舟の『飲食系図』に「…大友宗麟が菊池氏を歓待したとき、ハマグリの腸を汁にして出した。ところが菊池方の人数が多く、ハマグリが足りず平うどんで代用した。それを蚌(ほう=貝の名、ハマグリ)腸といった…」とあります。その他にも説はいろいろありますが定説はないようです。
調理方法(高橋知子著『おおいた料理譚』より)